自由な感覚でそれぞれの夢を追求した、兄妹2世帯住宅。

2階玄関からお兄さんご夫妻とお子さん、そして愛犬。1階の玄関に妹さん。仲のいい兄妹の2世帯の家。

兄妹での2世帯住宅の例。1階に妹さん、2階と3階にお兄さんご夫妻が住んでいる。
もともとお母様の住んでいた土地に、2世帯を立てることになった。お兄さんのほうが主体となって、設計事務所に相談したりモデルハウスを見てまわったりしたが、もっと自由な家づくりができないものかと考えていたところへ、インターネットで工房を見つけた。早速、当時赤羽にあった工房の展示場を見に行った。

展示場そのものも気に入ったが、出てきた営業マンが押しつけがましくないのが、まずよかった。「とにかくオシャレな家にしたかったのですが、彼は実に細かいところまでアドバイスしてくれました。彼の影響力はホントに大きかったですね」と奥様がいえば、「価格が見えやすかったのもよかった」とご主人。それぞれの感じるメリットで、工房が選択された。

2階と3階のお兄さんご夫婦の空間は、アンティークにしたいという要望だった。その要望に沿って、工房は自然の素材とその質感を重視し、新建材の提案は極力避けることにした。
リビングの床は幅広乱尺の無垢オークにリンシールドオイルという自然塗装を施した。床暖房は低温式のものを採用して、熱に弱い無垢素材が傷まないように配慮した。
天井と壁にはドイツの再生壁紙、ルナファーザーを採用、カラフルに塗り分けるなど、徹底して手づくり感にこだわった。


アンティークな雰囲気の2階リビングにお兄さんご夫妻とお子さん。愛犬のエリザベスカラーもサマになっている。

妹さんの1階は、リゾートインの香り。ここには猫が似合う。

それぞれの個性が目一杯発揮された空間。

1階と2階、2階と3階とをつなぐ螺旋階段は、鉄錆色に塗装され、それ自体インテリアとしてこの家の大きな特徴となっている。リビングの木製ドアは独特の風合いを持つYUDA木工の建具。2階3階の吹き抜けに面した大壁には杉板を張り、薄く板目が出るように「経年美」を意識した塗装にした。

さて、妹さんの1階はというと、ここにはまた2階3階とは違った個性が満ちていて、一瞬、バリ島かどこかのリゾートインに紛れ込んだかと錯覚するほど。アッシュ無垢材の床が足裏に心地よい。壁はパイン材の腰壁でこれは柿シブで塗装、その濃い色と再生壁紙ルナファーザーに灰白色塗装を施した壁とが不思議なコントラストを見せる。

さらに、洗面所の壁には紫色の壁紙が使われていて、なんともいえないエキゾチックな雰囲気をかもし出している。リビングの大窓の外は、床からほとんど段差のない広いウッドデッキで、風雨に強いセランカンバツが使われている。その中心には、シンボルツリーともいえるシマトネリコが植えられている。
そしてその周辺には、本人の知らないうちにお父様やお兄さんが植えたというユーカリ、ナニワイバラ、ミモザなどの木々が緑をたたえ、豊かに繁っているのだった。


海外旅行が趣味の妹さん。世界の面白い小物が楽しい。

お兄さんご夫婦の寝室。どこまでも可愛い。

1階は玄関からもう、エキゾチック。

YUDA木工のドア(中央)が経年美を醸し出す。

1階のウッドデッキ。緑が豊かに繁って心を癒してくれる。


所在地:東京都北区
竣工:2012年4月
用途・規模・構造:専用住宅・木造・地上3階建
断熱:内断熱/BIB充填断熱
敷地面積、建築面積:敷地面積 132.90㎡、建築面積 74.77㎡
延床面積、各階面積:延床面積 166.43㎡
設計:株式会社工房 一級建築士事務所