工房ビルディング 埼玉県/川口市|RC外断熱工法ビルディング
戸田市に建てた鉄骨造の本社屋が手狭となりつつあったある時。
30年前からシステム事業を行ってきたモノづくり集団の工房なのだから、自社内にサーバールームも設置するべきだ!…システムの技術者達がそんな願いをもちはじめていた最中、大社長が突然にして川口市に土地を購入することを決定しました。こうしてRC外断熱ビルを川口市に新築する計画がスタートしました。
気持ちのよいオフィスビル
設計は社内設計コンペにより、設計責任者である池上自らが手がけることとなりました。設計者の池上修一は、かの有名な真鶴市の景観条例<美の条例>の考案者の一人です。 池上が考えたのは、断熱性能一辺倒の建物ではなく、高断熱でありながらも開放感がある建物。何より、仕事をしていて気持ちよいオフィスビルでした。
断熱は確かに重要ですが、断熱性能に固執するあまり、牢屋のように窓の小さい建物になってしまっては、皆が働いていても、きっと息が詰まってしまいます。外部との関係性が遮断された内的空間では、四季の変化も風が街路樹を撫でる様子もわかりません。時間や季節のうつろいを表情としてふと感じるような外部の取り込み方は重要でした。
そんな意図のもと、我らが工房ビルディングはついに2010年の春に、 高断熱でありながらも開放感を合わせもったビルディングとして無事に竣工しました。
鋳物の町
私たちの新しい拠点となった川口市は、昔から鋳物で有名な職人の町です。職人と言えば、東京エリアの建築工事に関わる多くの職人さんもまたこの川口市内に沢山住んでいることで知られています。そんな職人達への敬意、モノづくりへ寄せる情熱から、私たちの社屋名の看板文字も、川口の伝統である鋳物で作られています。
工房ビルディングは5階建
1階は我らが建築部門がこちらの1階でデスクワークに勤しみます。1階は杉の分厚い無垢床、内壁はコンクリート打ち放しです。壁の合間には大きな窓が何枚も切り取られてます。隣地の公園の緑を借景として楽しんでます。3m以上の高いRC打ち放しの天井に剥き出しの配管類はいかにも建築部門らしい仕上がりです。
2階はシステム部門
3階は会議室、応接室
4階は賃貸フロア
5階は免振装置が備わったサーバールームとなっております。
工房ビルディングのRC外断熱工法
外装は「左官の塗り壁」、「ガルバリウム鋼板葺き、木板貼り」、「打ち放しコンクリート風パネル」の3種類に分かれているため、外断熱工法も左官壁には「テラコ湿式外断熱」、ガルバリウム鋼板と木板貼り部分には「サンバント乾式外断熱」、打ち放し風仕上げ部分には「GSパネル湿式外断熱」を採用しています。通常「外断熱」と言えば、何か1つの工法を選定するのが通例ですが、3種類の外断熱工法を組み合わせたとても珍しい建物となっています。
快適なRC外断熱ビルの恵まれた温熱環境で、私たちは今日もモノづくりに励んでいます。
所在地:埼玉県川口市
竣工:2010年3月
用途・規模・構造:事務所・鉄筋コンクリート造・地上6階建
断熱:外断熱/無機質発砲系ボード・内断熱/グラスウ-ル
敷地面積、建築面積:敷地面積 326.63㎡、建築面積 260.46㎡
延床面積、各階面積:延床面積 1353.99㎡
設計:株式会社工房 一級建築士事務所