3匹の猫ちゃんのために夫婦二人で暮らす家の改修工事


築40年ほど経過した中古の一戸建て住宅を2016年に購入されたM様ご夫妻。現代的な暮らしができるように工房建築事業部でリフォームを実施させていただきましたが、その後、ひょんなことから3匹の猫を飼い始めたため、猫のために部分改修を実施させていただきました。
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■にゃんこマンション建築前後


にゃんこマンション建築前の階段上部

階段上部に2階建てにゃんこマンション建築後、3匹が入居しました

■にゃんこマンション詳細


にゃんこハウス1階2部屋の個室は2段構造。箱の中が猫トイレ、箱の上が寝床。トイレの砂の取り替えは左右に設置されたドアから行います。

にゃんこマンション2階は次男猫のお部屋、同じく箱の中が猫トイレ。

にゃんこハウス1階トイレの出し入れドア

■リフォーム後【クローゼットにゃんこトイレ】


2階階段上の元押し入れの収納ドア、猫トイレ入口設置前

3匹共用の収納クローゼット内 猫トイレ入口前に座るロイちゃん。

猫トイレ入口、奥にLEDの照明があります。照明は監視カメラ用の照明になります。ノーマルでは明るすぎるためメンディングテープを貼り光量を調整しています。

クローゼットの中折れドアを開けた状態。トイレを置いた「箱」ごとキャスターで引き出せます。トイレは「toletta」という体重、尿量、尿回数などを猫の顔認識で様子をスマホで確認できるIOTトイレです。

■M様ご夫妻に聞く

キッチンで遊ぶロブちゃん

■最初のリフォーム時、飼い始める前の想定はいかがでしたか?
以前から猫を飼えればいいかな、とは漠然と思っていましたが、当時の暮らしの中では到底飼えるとは思えなかったので、猫と暮らすことを前提としたリフォームは殆ど考えていませんでしたので最初のリフォームは夫婦のためのリフォームに徹しました。

■最初のリフォームでの猫を飼う想定、しかし。。。
最初のリフォームで唯一「万が一猫を迎えることになったらここを猫トイレのスペースにしよう」と目論んで作っていただいたのが1階洗面脱衣所の洗面台の下のスペースですがこれは失敗でした。洗面台の下に高さ40cmのスペースを設けていましたが、実際に使って見ると猫トイレとしてはスペースが全く足りません。。。実際に飼ってみないと分からないことが多々あると思い知らされました。

■猫のためのリフォーム時に考慮した点は何ですか?
猫があちこちの部屋を行き来するために室内ドアに設ける「ペットドア」を事前にお願いするかどうかと思いネットで情報収集は行いましたが、デザイン的にイメージとかけ離れており最初のリフォームでは見送りました。
猫を飼い始め、猫のためのリフォームを考えた時も我が家の場合はリビング以外の部屋には基本的に「出入りして欲しくない」というシチュエーションが多く、どうしても「ペットドア」必要か?と言われると、そうではないと思いました。また友人に聞くとペットドアのパタパタとスイングするパネルが苦手で使ってくれない子も多いと聞いたこともあり「ペットドア」の導入は見送りました。今となっては導入を見送って正解だったと思います。

フロアには爪とぎを置いています

■猫のためのインテリアの造作は?
猫たちに聞けば間違いなく「欲しい」と言うかもしれませんが、我が家で敢えて設置していなかったのがキャットタワーとキャットウォークです。
最近ではデザイン性の良いキャットタワーも色々出ていますが、お値段も良いので「使ってくれなかったらどうしよう」という思いがありました。また「会社に行くのでハウスに入って欲しい」とか「通院するのでキャリーに入って欲しい」などの理由で猫を拘束しなければいけない時に人間の手の届かない高さに逃げられると困りますし、狭小住宅なのでキャットウォークを張り巡らせると室内に圧迫感が出てしまいます。スペースをひねり出してまでキャットタワーとキャットウォークを設置する優先度が低いと判断し導入は見送りました。

 

 

カーテン登り遊びで下はボロボロ

■猫を迎えるためのインテリア対策~ソファとカーテン
これから猫を迎える方にぜひ対策をしていただきたいのは、ソファでの爪研ぎとカーテン登りへの配慮です。
ソファは張り生地にモケットを採用しているものを選ぶことで、爪研ぎが出来なくなるのでソファ生地が傷むことは無くなります。

ただカーテン登りを止めさせるための対応は難しく、今も試行錯誤し情報収集を続けています。
カーテンの種類によっては爪が引っかかりにくいペット対応のカーテン生地があるようですが「ペット対応」と言うだけで価格が上積みされているように感じることや、カーテンは部屋の中でも面積が広く、部屋の印象を大きく左右するアイテムなので気に入らない生地や模様のカーテンを無理に購入するとストレスになってしまします。
カーテンではなくブラインドという手もありましたが、ぶら下がる紐と繊細なスラットの構造を考えるといたずらされて壊れる可能性が高いと思いました。

理想的なカーテン登り対策は木製室内窓(木製シャッター、ウッドシャッター)だと思いますが、最初のリフォームで断熱対策として内窓(二重窓・二重サッシ)を設置していたため木製室内窓が後付けができず、とても後悔しています。

そのため猫を飼い始める前の最初のリフォーム時に購入したカーテンを今も使っており、今も試行錯誤中です。

■猫を迎えるためのインテリア対策~脱走防止扉
猫を迎えて数ヵ月後に何かのはずみに外へ飛び出す可能性が高いと思い玄関ドアの土間前に脱走防止扉を検討し始めました。
玄関や土間周りが狭いのと他の周囲の扉と干渉するのが課題でしたが、折れ戸プラス閂にすることで猫には開けられない扉に造作してもらいました。配送業者が来ると、よく扉越しにご挨拶して癒しを振りまいています。


玄関の脱走防止扉

玄関の脱走防止扉、室内側から

1階寝室前の侵入防止柵

2階LDKの脱走防止柵

 

3つの個室がある猫マンション

■猫を迎えるためのインテリア対策~猫ハウス(にゃんこマンション)
猫を迎えて1年弱での猫リフォームで完全個室の猫ハウスを設置しました。夫婦が不在中の留守番や夜間は3匹とも完全個室の猫ハウスで過ごしています。猫をハウスに入れて留守番させることには賛否両論あるかと思いますが、共働きなので長時間の留守番になることと3匹の多頭飼いなのでケンカや事故防止、病気での隔離や万が一の災害時に「拘束されるのが嫌じゃない」子になってもらいたいという我が家なりの考えがあり完全個室暮らしが当たり前であることを認識してもらってます(認識してるかどうかは疑問ですが)

当初の造作では半日程度は快適に過ごせるよう各個室にトイレを完備し、必要に応じて各個室を行き来出来たり、塞いだりと可変性を持たせました。
設計時には猫は2匹飼いで1階~3階を使用できるペンシルマンションタイプを想定し将来子猫が増えても適度に仕切れるように運用していましたが、子猫が生まれ3匹になり「お互い行き来できるようにした方が猫のため」と人間が考えても当の猫同士の相性の問題があり、結局子猫のために仕切りを設け 3部屋の完全個室制になっています。
「どちらへ転んでもいい」と保険をかけた作りにしておくのは不確定要素の多い動物相手には必要なことかもしれません。犬にも言えますが「自分ひとりでゆっくり出来る場所」としてのプライバシーが保たれる場所があると、逆に安心するようです。特に母猫はハウスがすっかり気にっているようで、留守番でなくても自発的に自室に入って寛いでいます。

折れ戸を加工して穴を空け共用猫トイレを収納内に設置

■猫を迎えるためのインテリア対策~共用猫トイレ

「将来子どもが生まれたら」など、ライフスタイルの変化を見越してある程度保険や余白を残しプランするのはリノベーションの鉄則ですが、ゴミ箱1個置くのも熟慮に熟慮を重ねるような狭小住宅の我が家ですが建坪の割には収納が多い方でした。
最初のリフォームで1階の脱衣所兼洗面スペースに洗濯機置き場が確保できなかったため2階階段付近にある以前の押し入れスペースを改造し、洗濯機置き場兼物置にしていました。この折れ戸で目隠しにしていたスペースを利用し、猫が出入り出来る穴を空け各自の個室トイレとは別に共用猫トイレ(トイレボックス)を造作してもらいました。

共用猫トイレは砂の飛び散りなどで物置内の他のものを汚さないように、スライドレールのついたボックスにトイレを置いています。このトイレはWifiにつながっており、猫の顔認識で各猫のトイレの履歴や体重などをアプリで管理できるIOT仕様となっています。

物置には洗濯機があるのでコンセントを分岐しトイレの電源ケーブルで猫達がいたずらしないようボックスの裏側に配線をするなど工夫しました。

トイレ掃除をするためにスライドレールで手前に引き出すことが出来るので、奥行きのあるスペースでもケーブルが絡むことなくストレスなく手入れが出来ます。

共用のIoT猫トイレ「toletta」

獣医さんからは「3匹飼いなら各自のハウスのトイレとは別に共有のトイレはもう1台あった方がいい」と言われています。猫の習性として、寝る場所・食事の場所・水飲み場・トイレはそれぞれ離しておいた方が良いらしく、ハウスの個別猫トイレはあくまでも留守中の補助と考えた方がよさそうです。
我が家では今のところ共有でも気にせず使ってくれていますが、一般的に言われている「猫トイレの数は頭数プラス1」の通り、「誰かが使ったトイレは嫌」という子も少なからず居るようです。日本の住宅事情を考えるとなかなか難しいですが・・・

現に、女の子らしく少し繊細なところのある母猫はトイレを覗いて少し考えて立ち去る・・・という場面が多々見られるので獣医さんの言うようにもう1箇所トイレを増やしたいのが本音です。
最近は「猫部屋」「猫のトイレ部屋」を設けてハウスや食事、トイレスペースを1箇所に集約するプランもあるようですが、気に入ってくれなかった場合の保険としてフロアを変える・部屋を変えるなどして家の中で点在するように設置すると回遊体質の猫にはいいのかもしれません。

ニッチに入るインテリア収納棚

■リフォームで工夫したのはインウォール収納
ゴミ箱ひとつ置くのもためらわれる狭い家ですが、ゴミ箱やキャビネットを壁に埋め込むインウォール収納を多用しています。インテリア的にものすごく見栄えがするわけではありませんし、素敵な家具を買い見て置いて使う楽しみは減りますが、埋め込み家具は地震など災害にも強く、ペットがいたずらすることもないので省スペース以上の効果があります。石膏ボードの裏に断熱材をギュウギュウに詰め込んだ壁では後から造作するのも難しいので、あらかじめリフォーム時にプランナーやデザイナーと相談しておくといいと思います。

 

 

 

素敵なキッチンと多用途のテーブル

■これから猫を迎える方へのアドバイスはありますか?

猫は犬と違い躾(しつけ)ができないので、どうしても「人間が合わせる」と割りきらないといけない部分があると思います。カーテンと共に諦めたのは、室内に置く生花や観葉植物です。
インテリア的には室内にグリーンが無いのは寂しいですしグリーンに全く興味を持たない子も居るらしいのですが、例えばユリやチューリップなど人間にとって身近な花、そして花瓶の水ですら猫にとっては危険で猛毒なものに変わります。人間には思いもよらない植物が害になるので私たちには全てを把握することが出来ないため種類を問わずグリーン類は一切置いていません。
猫にはキャットタワーを我慢してもらい、人間は植物を愛でることを我慢しています。何もかも我慢して「猫ファースト」だと生活が息苦しくなってしまいますが、取捨選択のバランスは暮らしながら塩梅しています。

センスが光る真鍮製のスイッチプレート

■ちょっとした猫への配慮も大切

猫にとって危険なものや、触られたくない大切なものは目に付くところに置かないという日々の行動もとても大切です。糸くずやワイヤー、ペットボトルのキャップ、輪ゴム、お菓子のパッケージのフィルム、医薬品のシートの切れ端など彼らのオモチャになり誤飲の原因になるものが暮らしの中にはたくさんあります。こういったモノは、なるべく蓋つきのゴミ箱に捨てること、出しっぱなしにせずこまめに仕舞う習慣が必要なので、片付けることが億劫にならない工夫が必要だと思います。

 

 


3匹の猫ちゃんと暮らすM様ご夫婦のライフスタイルを拝見することができ、楽しく適度な距離を持ち暮らしている姿を見ることができました。また猫リフォームも大成功のようです。本日はありがとうございました。

猫などペットと暮らすハウスリフォームのご相談、お気軽にお問い合わせください。

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